Last Update 2006.1/13
加齢黄斑変性は、光を感じる網膜の中心にあたる黄斑に出現する病変で、我が国でも近年増加傾向にあるとされています。その中でも滲出型加齢黄斑変性は視力低下が顕著であり、患者さんの社会的失明につながる重篤な疾患です。その本態は脈絡膜という網膜より外側にある組織から発生する新生血管です。
新生血管は網膜(黄斑)に浮腫(網膜の腫れ)や出血、網膜剥離を引き起こし網膜の正常構造を破壊します。滲出型加齢黄斑変性はこの脈絡膜新生血管(CNV)をいかにつぶすかが治療のポイントなのです。しかし、この新生血管をうまく消し去るのは容易ではありません。一番視力維持に有効とされている光凝固は新生血管と一緒に網膜の正常構造も大きく破壊してしまうため、黄斑の中心である中心窩の下に存在するCNVに対しては行えませんでした。
光線力学的療法はベルテポルフィンという光感受性物質を注射し、それがCNVに集まっている時間帯をねらって特殊なレーザーを照射します。この特殊なレーザーのパワーは弱く、正常な網膜にはほとんどダメージがありませんが、ベルテポルフィンの光化学反応を引き起こし、悪玉であるCNVだけにダメージを与えることができます。
海外では数年前から行われており、比較的良好な成績を上げています。我が国でも2000年より当院を含めた5施設で臨床試験が行われ、欧米よりもさらによい治療成績を得ることができました。今後我が国での中心窩下に脈絡膜新生血管の存在する滲出型加齢黄斑変性の強力な治療法の1つになることは間違いないといってよいでしょう。
ただし、この治療法にも問題点がないわけではありません。誰にでも効果があるわけではありませんし、複数回の治療になることが多いのです。我が国での臨床試験では1人あたり平均約3回の治療が必要になりました。また、治療後視力が下がってしまう患者さんも多くみられました。また、発症から時間がたってしまうと黄斑網膜が破壊されてしまい、治療しても視力は回復しなくなります。またベルテポルフィン(ビスダイン(R)/ノバルディスファーマ社)は高価な薬ですので、経済的な負担も無視できません。
それでも、我々はこの治療によって加齢黄斑変性患者さんには大きな福音となるものと考えており、スタッフ一同フル回転で治療に当たっています。詳細は当院外来へお問い合わせ下さい。